-宮本 輝 著 『流転の海』 宮本 輝のライフワークらしい、壮大な人間ドラマ。 第一部『流転の海』、第二部『地の星』、第三部『血脈の火』、そして、第四部『天の夜曲』をようやく読み終わった。 「敗戦から2年目、裸一貫になった松坂熊吾」という50代の男が主人公。第一部を読み始めたときには、50歳の熊吾に伸仁というはじめての子供が産まれ、戦後の混乱の中で、ものすごい勢いで時が進んでいくのかと思っていたら、第四部の『天の夜曲』なんて半年分の出来事。しかも、伸仁はまだ9歳だ。 『流転の海』を読み始めてから、1年近く。他の本の合間に読んでいたので、思い出したように少しずつ少しずつ読み進めてきたのに、読み始めるとすんなりこの小説の世界に入れるのがすごい。 松坂熊吾という無茶苦茶なおっちゃんがいつの間にか好きになっているし、妻の房江にしても、伸仁にしても、ものすごく身近にいる人のように思えてくる。 次々と登場する人たちにしても、それぞれの人物描写が際立っていて、こんなに間を空けて読んでいたわりには、人物が混乱することもなく、前の巻をめくって思い出さないとならないようなこともなかった。 とりあえず、第五部は図書館で予約しているので、近いうちに読める予定。 そして、完結編は?・・・第四部『天の夜曲』巻末の作者と児玉清さんとの対談を読んでいると、一応第六部で完結する予定ではあるけれども、ひょっとしたら終わらないかもという状態らしい。 第四部までで20年もかかっているとか。さて、いつごろ完結するのかな? #comment_a -[[カテゴリ/本]]