-矢崎存美著『ぶたぶた日記(ダイアリー)』

#ref(butad.jpg,nolink,around,150x165,『ぶたぶた日記』)

「ぶたぶた」シリーズの最新刊。

うちの&ref(butakao.gif,nolink,52x46,ぶたぶた); ぶたぶたは小さめだけど、本に登場する「山崎ぶたぶた」さんは、バレーボールぐらいの大きさ。しかも、「中身は知恵も分別も人一倍ある中年男」。なぜか人間の妻子もいる。

今回は、ぶたぶたさんが、義母の代理でカルチャースクールのエッセイ講座に通うという設定。講師は、偶然回ってきた講師役にあたふたとする若手小説家。受講者はぶたぶたのほかに5人。上司のセクハラに怒れない内気なOL、引きこもり気味の16歳の女の子、作家を夢見る主婦、定年退職後に小説を書きたいといろいろな講座に通う男性、リストラ対象者となりそれを家族に打ち明けられない中年の会社員。講座の回数も6回。6人がそれぞれの回の語り手となって、ぶたぶたさんとの関わりや自分の悩みなどが描かれる連作短編集。毎回、ぶたぶたさんの書いたエッセイも披露される。

「ふ〜ん、こんな講座ありそうだね。ネットで日記を公開するときの注意なんかも教えてくれるんだ。おもしろそうだけど、毎回エッセイを書くのはいやだな。」~
「うんうん、こんなOLいそうだね。普段人一倍真面目なのに、エッセイの課題が書けていないからって、突然会社を早退だ。」~
「そりゃ、ピンクのぶたのぬいぐるみが歩いているのを見たら、あとをつけたくなるよね。」~
「定年後に通っている講座の受講者に、『ピンクのぶたのぬいぐるみがいる』なんて言ったら、家族に痴呆を疑われるのも仕方ないかも・・・」

なんかね、講座の内容もありそうなものだし、登場人物もそこらへんにいそうだし、それぞれの語り手や周りの反応も素直すぎて、「まあ、そんなこともあるわな」という感じで、全体的に新鮮味に欠ける気がした。

毎回登場するぶたぶたさんのエッセイも、「そりゃ、普通の社会生活・家庭生活を送ろうとしている中年のおっさんが、ぶたのぬいぐるみだったら、困ることも多いだろう」という内容なのだ。その困ったときに、ぶたぶたさんがどう考えて、どう行動するのかを読むと、「ああ、やっぱりぶたぶたさんって、よくできた人(?)だよなあ」って思うんだけど・・・。文章もうまいから、見習わなくっちゃって思うしね。

でも、ぶたぶたさんがぶたのぬいぐるみという特性(?)を活かして、クリスマスプレゼントを配達するサンタ役で受け取る人にさまざまな想いを起こさせたり、タクシーの運転手をやっていて前から首が見えなくて幽霊と間違われたり、殺したいほど憎んでいる人の代わりにぼろぼろになるまで殺られたり、刑事として体をはって現場に潜入したり、今までの八面六臂の大活躍を思うと、平凡なんだよね。ハラハラドキドキすることも、大笑いすることも、ぽろぽろ涙を流すこともなくて、ちょっと物足りなかったな。
-先日、この本を読んだ人がたまたま3人ほどいる集まりで、感想を言い合いました。やっぱり皆、ぶたぶたさんにはもっと波乱万丈、スーパーぬいぐるみな活躍を期待していたので、「平凡な日々」を細かく描かれるのはイヤみたいです。そのうちのお一人がおっしゃった言葉があまりに強烈だったので、印象に残ったのが・・・「あまりリアルに書かれると、”どうして子供が生まれたの?”とか、下世話な想像しちゃうからイヤ」(^^;)。 でも、私もこれには納得でした。 コロンボ警部みたいに、「うちのカミさんが・・・」と連発しながら、けしてカミさんが登場しないように、ぶたぶたさんの奥さんや子供さんが登場しなくてもいいのになぁ。  -- [[葵]] SIZE(10){2004-10-05 (火) 18:09:54}
-「下世話な想像しちゃう」・・・、ああ、よくわかります。ぶたぶたさんが活躍すること自体がファンタジーなんだし、あんまりリアルな世界に引きずり込んで欲しくないかも。ぶたぶたさんが、近所に住んでいるお知り合いだったら、落ち込んだときに相談にのってもらえていいなあ、と思わないわけでもないけど・・・。まあ、うちのぬいぐるみのぶたぶたに、「フランス料理作れるんだって?」、「車の運転してよ。」とか、絡んで(?)遊んでいるぐらいがちょうどいいかな&y-redface; -- [[Gecko]] SIZE(10){2004-10-05 (火) 19:21:14}

#comment

-[[カテゴリ/本]]

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS