-列車内でもらうもの

鉄道の旅についてのテレビ番組に、西村京太郎さんがゲスト出演されていて、「地方に出かけたときは、地元の人と一緒になるからボックス席に座るのがいい」、「おばあさんが、みかんをくれたりする」というようなことを言われていた。それを聞いて、随分前に中国を旅したときの列車内での出来事を思い出した。

硬座というほとんどが中国人の混んだ列車のボックス席に座ったときのこと。私は、みかんじゃなくて、ゆで卵をもらった。今は食べられるんだけど、その頃はゆで卵が苦手だった。しかも、そのゆで卵は殻が茶色っぽい黒。中国の街中では、大鍋に醤油か何かわからないけど、黒っぽい煮汁に大きな葉っぱを入れ、卵をゆでながら露天で売っているのを何度も見かけた。多分、味を付けるために黒っぽい煮汁で煮ていたんだろうと思う。ゆで卵が嫌いな上に、白い卵を見慣れている私には、とても怪しげなものに見えて、旅の途中で見かけたさまざまなもののうち、絶対に口にしたくないもののひとつだったのだ。

乗った当初は現地の人だと思われていたらしんだけど、ふとしたことで、日本人だと気付かれてしまった。どこからか、学校で英語を教えているとかいう中国人の先生がやってきて、妙な英語でいろいろと聞いてくるのだ。そして、袋に数個入ったゆで卵をくれようとする。何度もお断りしたんだけど、無理矢理渡されて、しかも、「おいしいから、食べろ」と言う。「今は、お腹がすいていないからいらない」となんとかお断りして、結局もらって帰らされることに・・・。

その後、宿で知り合った日本人にあげたら、「ここ2、3日、風邪で寝込んでいたから、毎日ゆで卵ばかり食べてた。これ、すごくおいしいのに」とか言って、大喜びでもらってくれた。一件落着、のはずが、翌々日ぐらいに声がまともに出ないぐらいの風邪をひいてしまったので、この人のがうつったのかも。列車の中も、窓が閉まっていてもどこからかすきま風が入ってきて、寒かったしねぇ。

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