-島田 荘司 『三浦和義事件』 平成9年初版。出版されて間もない頃に、図書館で借りて読み始めたものの、かなり早い段階で挫折。その時は、この事件に興味があったわけではなくて、この作者の本だから読もうと思っただけなのだ。 プロローグ~ マスコミサイドの視界~ 三浦和義の視界~ 裁判~ 後記、幻想のロス疑惑 という構成。 二段組、660ページを超える大作。ものすごく読み応えがあった。 まず、プロローグで、そもそもこの事件がどんなものかを知らないということがわかる。 そして、マスコミサイドの視界。いわゆる「ロス疑惑」でマスコミが大騒ぎをしていた頃に、まるで関心がなかったので、こんな一連の出来事があったのかと興味深く読む。 次は、三浦和義の視界。「ロス疑惑」という事件がなくても、小説のネタになりそうな要素が満載の人生を送られている方みたいだ。少年時代のことから書かれているので、事件に関わる記述以前の部分は、親戚の芸能人の話なども登場して、小説のように気軽に読む。 ところが、事件に関わる部分になると、当然、内容が「マスコミサイドの視界」と重複するので、誰に騙されているのかと頭が混乱。この本の資料とされる手記を書いている三浦氏か、筆者か、それとも「マスコミサイドの視界」に出てくる話か・・・。 「裁判」。これでも、「膨大な公判調書の一部を梗概化し、要所要所に最低限の解説を加えて」書かれているとのこと。自分のペースで目で追っていても理解しがたいのに、一般人には、口頭で述べられてもついていけないだろう内容。「殴打裁判・一審」、「殴打裁判・二審」、そして、「銃撃事件・一審」。銃撃事件の一審で有罪となり、控訴審にかかる以前でこの本は終わっている。 筆者の後記では、証人によって証言内容が異なる事実についての推理がなされていて、それが真相であるかのような印象も受ける。 ならば、なぜ今頃、再逮捕ということになったのか? この本を読む前は、事件をろくに知らないまま、「限りなく黒に近いグレーだったのに、確定的な証拠がなくて有罪を立証できなかった」、「ロスアンジェルスの捜査当局を激怒させるような言動があって、執念深く捜査を続けられていた」と勝手に思っていたので、ここのところ何度も映像が流れる、オレンジのつなぎ姿を思い浮かべながら、ますます疑問が募る。 《2008.3.15記》 -私わこの事件知らない世代なんですが やはり島田壮司さんの作品だったので読みました それから数ヶ月経ち 三浦元社長がサイパンで逮捕され、そしてまさかの輸送、遂に自殺をされるなんてびっくりしました。しかも搬送された病院がかずみさんが亡くなった病院。。。一人の人生がこんなふうに幕を閉じるのでしょうか、、、よめばゴミを報道陣に漁れたりと普通でゎない日々を送ってきた人です是非島田壮司さんにもう一作品書いて貰いたいです -- [[ゆうか]] &new{2008-10-11 (土) 23:21:32}; -ゆうかさん、はじめまして。管理人の[[Gecko]]です。私も「ロス疑惑」がマスコミに大きく取り上げられていた時は興味がなかったので、この事件の知識の大部分がこの本の内容です。今頃になって再逮捕されたことについて、島田 荘司さんの見解を聞いてみたいとずっと思っていました。それが、まさかの自殺。全くの部外者でも「このままうやむやにして欲しくない」と思うのに、関係者はいかばかりかと思います。・・・島田 荘司さんも当然、並々ならぬ関心を寄せておられたと思われるので、この後の展開を書かれることがあったら、私も是非読んでみたいです! -- [[Gecko]] &new{2008-10-12 (日) 21:32:40}; #comment_a [[本の覚え書き/読了本]]