-島田 荘司 『リベルタスの寓話』

「リベルタスの寓話」と「クロアチア人の手」という中編が2編。どちらにも、御手洗潔が遠くから電話の声だけ登場。

「リベルタスの寓話」では、プロローグでいきなり、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの一都市モスタルで起きた「心臓以外の臓器をすべて他の事物に入れ替えられるという、酸鼻をきわめる殺人事件」だ。内容を確かめないまま図書館で予約して借りたので、「ああ、今読みたい本じゃないなあ」と思いながらも、少しずつ読み進む。ボスニア・ヘルツェゴヴィナでの紛争の原因も詳細もまったくといっていいほど知らないので、こういう民族が争ったのかと、少しは興味を持つきっかけにはなったかも知れないんだけど・・・、『ロシア幽霊軍艦事件』同様、ものすごく読後感がよろしくない。

「国境を越えて侵食する」MMORPG(オンライン・ゲーム)や仮想通貨のRMT(リアル・マネー・トレード)もこの殺人事件に関わってきて、それはそれで興味津々だったんだけど、なんとも内容が中途半端な印象。

そして、「クロアチア人の手」。御手洗潔の友人の石岡先生が登場。

「俳句国際コンクールで優秀賞を獲得し、表彰のために日本に招待されてきている」ドラガン・ボジョビッヂとイヴァン・イヴァンチャンの二人のクロアチア人が、東京深川の芭蕉記念会館に滞在中に事件が起こる。

こちらは、はっきりいって、説明がくどい。まず、事件の概要が述べられていて、さらに、担当捜査官から石岡への電話。石岡から御手洗への電話。そして、ああだこうだと関係者間の話し合いがあって、最後に真相。

内容がかなり重複する上に、会話文が多いから、散漫だ。

しかも、肝心の「なぜ今頃になって?」という疑問が最後まで残った。読み返せば細かな伏線があるのかもしれないけど、もう読み返す気にもならないし・・・。

《2008.3.24読了》

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