-[[桐野 夏生 『東京島』]]

  32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。
  いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、
  いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。
  果たして、ここは地獄か、楽園か? 
  いつか脱出できるのか――。
  欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、
  読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生! 

この人の本は、村野ミロとその父親が出てくる本しか読んだことがないんだけど、そのちょっと退廃的な雰囲気が好きだったので、この設定でどう描かれるのかと期待したのに、おもしろさが全然わからない本だった。

まず、清子の人物像がダメ。この人にちよっとでも共感できたら少しは読みやすいんだろうけど、夫の隆とのクルーザーでの旅の途中に遭難、無人島に着くなり「ザバイバル本能全開」。「芋を掘り出したり」というのはいいとして、「蛇の皮を剥いだり」あたりから、もう拒否感。だって、蛇は見るのも苦手なのだ。それを、しばらく島で生活して蛋白源がないから致し方なく、ではなくて、いきなり蛇だ。結局、最後まで全く好きになれない人物像だった。

他の登場人物にも魅力が感じられないし、島で唯一の紙である、夫の隆の航海日記の使われ方も中途半端。

そして、結末も無理矢理な強引さで好きになれない。

こんなに薄くて読みやすそうな本なのに、あまりにおもしろくなくて、一気には読めなかった。

《2008.10.21読了》《2008.10.22記》

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