• G・ガルシア=マルケス 『百年の孤独』

ワン・センテンスが長い、改行がごく少ない、章分けされているものの見出しが一切ない。

さらに、ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアラン夫妻に始まるブエンディア一家の百年にわたる長い長い物語で、第七世代まで多くの人物が登場。その中で、アルカディオ、アウレリャノ、ウルスラ、レメディオス、アマランタ・・・と、同じ名前が何度も何度もつけられていく。

一気に読まないとわからなくなる本。

なのに、途中で図書館で予約していた本が届いたので、やむなく中断。区切りのいいところで中断したわけではないのに、自分の中で、一部と二部のような印象が残ってしまった。

舞台は、ホセ・アルカディオ・ブエンディアが創設したマコンドという村。

いかにもうそっぽい話と、ありそうな話が混在した内容で、マコンドの位置についても、「南米のどこか?カリブ海のあたり?」と、南米については、地理も歴史も政治情勢もまるで疎いので、ない知識をしぼらされながら読まされてしまう。特に、ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラの次男であるアウレリャノ・ブエンディア大佐が大きく関わることになる戦闘と、バナナ会社の進出と軍隊による労働者の虐殺については、「これはどこかの国の話をモデルに書かれている?」と気になって仕方がないのに、ない知識はいくらしぼっても出てこない。

読み終わってネットで調べてみたら、作者の経歴などを詳しく書かれたサイトを見つけた。やっぱり、作者の生活圏は、未知の世界(←自分が今まであまり関心を持ってこなかった地域)だ。

訳者のあとがきによると、物語の終わりは1928年なので、それと1828年にはさまれた百年の話ということだ。

図書館の書棚を何気なく見ていて、たまたま目に付いたこの本を読みたくなったのだけど、作者はコロンビア生まれで、なんとノーベル文学賞の受賞者だ。そういえば、名前を聞いたことがあるような・・・という疎さ。

「孤独」というタイトルの通り、一族のほとんど(すべてか?)が孤独感を味わいながら生きている人たちで、この一族の中に入りたいとか、この屋敷に行ってみたいという内容ではないのだけど、読み終わってみると、身近にあった不思議な世界が急になくなったような寂しい気分にさせられる。

読んでいる途中で、去年読んだ 桜庭 一樹 『赤朽葉家の伝説』は、この本の影響を受けている?・・・と気付いてネットで調べてみると、そのような記述がいくつか見つかった。日本の、しかも、自分が少なからず知っている時代が舞台というのもあって、中盤からはかなり印象が違うものの、主人公の赤朽葉万葉の存在感が、ウルスラを思わせるものがある気がする。

現在、偶然にも、この作者が原作の映画『コレラの時代の愛』が公開されているようなので、DVDになったら見てみたい。

《2008.9.26読了》《2008.9.27記》


本の覚え書き/読了本


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Last-modified: 2008-09-27 (土) 10:46:49 (5687d)