今回のぶたぶたは“会員制”喫茶店の店員。 「誰にも話せない秘密を、そこにいる店員に話してください」 同じオーナーの経営する別の喫茶店で、レジのレシートのキリ番をゲット!・・・したイラストレーターの森泉風子は、店長にそう言い含められて、ぶたぶたのお店にやって来る。 今回のお話は新鮮味に欠ける。 これまでぶたぶたは、刑事、シェフ、作家、宅配便の配達員、ホテルのスタッフ等々・・・いろんな職業に就いていて、「なんでこんなに転職するんだ?」と思うのはヤメにして、「作者はぶたぶたさんにいろんな仕事をやらせてみたいのね」と思うようにしてきたんだけど、今回の喫茶店の店員兼ケーキ作り要員は、あまりにも新鮮味に欠ける。 さらに、喫茶店にやって来るお客さんも、森泉風子の他に、小野寺悠とその兄の婚約者の沼尾椛(もみじ)。そして、喫茶店のオーナー。それぞれの「誰にも話せない秘密」が少しずつ明かされていき、オーナーとぶたぶたの秘密、でもなんでもない過去も語られていく。それが、あんまりおもしろくない。 ここの喫茶店には行ってみたいし、ぶたぶた手づくりの、とろりとカスタードクリームがあふれて、溶けたチーズみたいなさいの目切りリンゴがたくさん入ったアップルパイは、とっても食べてみたいんだけどね。 奥田 英朗 『イン・ザ・プール』と併読していたので、全然別ものなんだけど、どっちも気持が凹んでいる時に行きそうな所なので、ついつい比べながら読んでしまう。伊良部先生とぶたぶたさんとどっちが好きかと聞かれたら、明らかに「ぶたぶたさん!」なんだけど、どっちの行動に興味があるかと言われると、伊良部先生かも。怖いもん見たさで伊良部先生に診察してもらいに行く勇気はないんだけどさ。注射、大嫌いだしね。 《2008.2.20読了》 |