第2巻の『事変の夜』では、満州事変、上海事変が描かれており、この巻では、いきなり満州国の建国宣言からはじまる。 情勢的には、かなり強引ではあっても国を作っていこうとするこの巻の方が、前巻よりはまだ読みやすい。 しかし、敷島家の四兄弟は、どんどん辛い立場に追い込まれていく。 四兄弟のうち、奉天総領事館の参事官である太郎が出てくる箇所では、政治情勢や軍部との関わりが詳細に書かれているし、憲兵隊の中尉である三郎が出てくる箇所では、軍の情勢や三郎が担う任務の悲惨な状況が描かれている。あとの二人、馬賊崩れの次郎と今やどういう立場だか本人もよくわかっていない四郎の箇所で、気を抜きながら読んでいたんだけど、特に四郎がますます泥沼にはまっていく。亡くなった父の後妻である真沙子との関係は、逃げるように上海に渡ったことで、これ以上酷いことにはならないと思っていたら、帰国した際に目撃したことにより・・・。 どんな因縁があるのかまだ明かされていない、特務機関の間垣徳蔵が暗躍しているので、これから四兄弟はさらに追い込まれていくのか?この展開では、ハッピーエンドになるとはとても思われないので、どういう終わり方をするのか、早く最終巻を読んでしまいたい。次はいつ出るんだろう? 《2008.4.19読了》 《2008.5.1記》 |