「この本は、文楽観劇のド素人であった私が、 いかにしてこのとんでもない芸能にはまっていったかの記録である」 この作者の書かれた『仏果を得ず』を先に読んでいるので、そのメーキングのようでもあり、おもしろかった。 【目次】 4月に見に行った『桂川連理柵』についても書かれている。「なんでそうなるのさ?」というツッコミどころが満載な筋だと思っていたら、やっぱりそうなんだ!作者もいろいろと突っ込まれていて、「そうそう、そうなんだよねぇ」と納得しながら読み進む。途中うとうととしてしまって、はっと気付いて見るのを再開した時に、「なんだ、あんまり話が進んでないじゃん」と思っていたんだけど、これを読んで抜けていた部分が判明。長右衛門の出生の秘密がまるっぽ抜けていたような・・・。それがなくても、十分くどくて込み入った筋なので、何かが抜けているなんて、全然気付いていなかった。 『仮名手本忠臣蔵』について書かれている部分では、「随分前に歌舞伎で見たことがあるなあ」と思いながら読んでいると、次は「歌舞伎を見る」。文楽と歌舞伎の根本的な違いについて説明されていて、「そうか、なるほどねぇ」と興味深かった。 つい最近の新聞にも紹介記事が載っていたのだけど、11月の文楽公演では、人形遣いの方の襲名披露があって、『仏果を得ず』にも出てきた『本朝廿四孝』が上演される。見に行きたくなってきた。 ただ、「文楽にはまる」ためには、作者のように人形を見て「きゃー」と舞い上がることができそうにないのが不安要素。子供の頃から、人形は苦手。リカちゃんやバービー、雛人形ですら欲しいと思ったことは一度もないもんなあ。 《2008.8.16読了》《2008.9.4記》 |