• 映画『胡同(フートン)の理髪師』

主役は93歳の現役理髪師、チンお爺さん。

冒頭、チンお爺さんが丁寧にお客の顔を剃るシーン。もちろん、80年以上のキャリアを誇るベテランで、素晴らしい剃刀さばき。手元が怪しいような下手な剃り方では全然ないんだけど、耳の後ろまで剃るのを見ながら、「ああ、耳を切られないか?この人殺されないか?」とハラハラ。この前に見た映画が、ジョニー・デップが恐ろしい剃刀さばきを見せる『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』だったのだ。見始めるまで自分でも忘れていたんだけど、おかげで顔をあたるシーンのたびに、映画の内容と関係なくいちいちドキドキしてしまった。

さて、この映画はもちろん怖い映画ではなくて、チンお爺さんとその周りにいる人たちの生活を淡々と描いた映画。

チンお爺さんの住む北京の胡同の古い家は、北京オリンピックを控え、近いうちに再開発のために取り壊されることが決まっている。チンお爺さんはそれに抗議するでもなく、自分が生きているうちに壊されることはないさと、達観したように普段通りの生活を送っている。

三輪自転車に乗って古い顧客の家に散髪に行ったり、仲間と麻雀をしたりと・・・といった生活。そうした中で、古い知り合いが一人寂しく亡くなったり、失業して生活に困る息子が尋ねてきたり、いつも食べに行っているお店の自分の席に初めての客が知らずに座っていたりと、チンお爺さんの気持を波立てるようなことが少しずつ起こる。

主役のチンお爺さんも、関わる人々も、存在感があって、いい映画だった。チンお爺さんと一緒に暮らすことになる猫も可愛い。終盤、どう締めくくられるのかが気になって・・・。

DVDになって、ジョニー・デップのイメージが消えた頃に、もう一度ゆっくり見てみたい。

映画『胡同(フートン)の理髪師』 http://futon-movie.com/



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Last-modified: 2008-04-03 (木) 20:59:19 (5864d)