• 島田 荘司 『龍臥亭幻想 上・下』

凄惨な場面が事細かに描かれていて、一気に読んでしまうのは怖いし、読みかけで寝てしまうと悪夢を見そうな本。

「石岡和己、犬坊里美、そして加納通子――。雪に閉ざされた龍臥亭に、八年前のあの事件の関係者が、再び集まった。雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫子の謎! 貝繁村に伝わる『森孝魔王』の伝説との不思議な符合は、何を意味するのか!」

『龍臥亭事件』を読んだのは、多分八年以上前。登場人物、事件の内容を思い出しながら、ゆっくり読み始める。

いきなり行き倒れの死体、すごい地震、死体発見・・・次々と恐ろしいことが起こるのに、登場人物が妙に明るいのが読んでいて救いなのかどうか・・・。坊さんと神主さんで、いくら死体を見慣れているとしても、非現実的な感じ。・・・最後まで読むと、それも作者の計算のうちという気もするんだけどね。

最後に、事件の謎を明かされる部分は、読んでいて辛い。鮮やかなトリックじゃなくて、ものすごくしんどそう。田舎という社会独特の背景も描かれていて、日本の社会は未だにそういうことから抜けきれないのかとも考えさせられてしまう。

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Last-modified: 2006-11-15 (水) 19:55:32 (6370d)