『ダ・ヴィンチ・コード』のラングドン・シリーズの第一作目。 ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所セルンの所長から電話を受け、殺された科学者の胸に焼印として押された紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。 殺されたセルンの科学者は、娘のヴィットリア・ヴェトラとともに、反物質という核の数十倍のエネルギーをもつ物質の生成に成功していた。それが盗まれ、密かにヴァチカンに持ち込まれ、24時間後に爆発する。折りしもヴァチカンでは、新教皇選挙会「コンクラーベ」が催されようとしていた。・・・というタイムリミット・サスペンス。 イルミナティの歴史、宗教と科学の問題、古くから続くコンクラーベの慣習、ヴァチカン内部の構造、ローマの建築や美術等々、薀蓄がわかりやすく書かれているし、早いストーリー展開とともに一気に読めるのだ。途中までは・・・。でも、3分の2を過ぎたぐらいから、「そこまでやるか」とか、「ちょっと図に乗りすぎなんじゃないの?」と思えてきて、何だろう、気持が冷めてしまうんだよねぇ。 『ダ・ヴィンチ・コード』も同じで、ラストまで読んで、「そんなできすぎた終わり方にするのか」と冷めてしまったし、どうも読後感がいまひとつ。 でも、映画化されるんだったら、『ダ・ヴィンチ・コード』よりこっちの方が見てみたいかも。読んでいてイメージが固まらなかったカメルレンゴ(前教皇侍従)やオリヴェッティ(衛兵隊隊長)をどんな役者さんが演じるのか気になるんだもん。 #comment |