![[RobarobanoAna]](image/roba2/ana.gif "[RobarobanoAna]")
あとがきによると「本作は十八世紀から十九世紀、イギリスに生まれて流行を見たゴシック・ロマンスの筆法を意識して書かれている」らしい。 本州最南端の半島沖の小島に建つ巨大な西洋館での宝探し。携帯電話などの通信手段は取り上げられ、館から自由に出ることもできない。「昔よく読んだ絶海の孤島もの？」と読み出したら、『ICO』のような、どういう構造になっているか全くわからない古い建物の中を巨大ダイヤを求めてさまよい歩くゲームのような印象だった。 館の所有者の莫大な財産の後継者を選ぶべく集められた五組十人の男女。個性的というか、ひとくせもふたくせもあるというか・・・。語りはそのうちの一人で、又従弟に無理矢理連れて来られた大学生。「この人の視点で書かれているから怪しいのは・・・」と、終盤犯人が読める。使われてもいない牢獄のようなこの巨大な館（総面積15,000�屐�部屋数およそ285室だ！）がなぜ作られたのかは、「こんなところに原因を持ってくるのか」というこの作者らしい展開。 読み終わってからネットで書評を見ていたら、「あっさりしていてもったいない」というような内容も。確かに、ラストはうまくまとまり過ぎの気もするけど、館の中で起こった凄惨な事件を思い描いていたら寝られなくなりそうだったので、「ああ、やっと安眠できる」という感じだった。同じ題材でもっとおどろおどろしい描き方をしたら、怖くて夢に出てきそうな作品になったかも。 #comment |
