• 映画『ヒトラー 〜最後の12日間〜』

しんどかった。途中で席を立ちたくなって、真ん中の席に座ってしまったのを後悔したほど・・・。

そもそも100席ぐらいの小さなシアターで、平日にもかかわらず満席。なぜか中高年のおじさんが多い。新しいシアターなのに、天井は低いし、前後の席に高低差があんまりない。スクリーンがまた低めの位置にあるから、前の人の頭が邪魔になる。しかも、前に座っていたのが頭のでかいおっちゃんで、字幕が下に出る。ちょうど字幕の真ん中あたりが見えにくくて、何度おっちゃんの頭をどついてやろうと思ったことか・・・。

本編がはじまる前から、圧迫感、閉塞感があったんだな。その上、映画の中心舞台は首相官邸の地下要塞。ものすごい音量でソ連軍の砲撃音が続く中、現実逃避するかのようにパーティで踊りまくったり、酒に溺れたり・・・。戦況がどんどん悪化しているにもかかわらず、実現不可能としか思えない大逆転のシナリオを熱く語り続けるヒトラー(ブルーノ・ガンツ)。これがまた大熱演で、そばで困惑した表情をしている登場人物と同じような心境にさせられるのだ。「この状況から早く逃れたい!」と思い続けていたのは、それだけこの映画がうまく描かれていたということなのかも。

登場人物も個性的。ヒムラーやゲーリング、ゲッペルスなど主要人物の名前を知っているぐらいの知識しかないのに、たくさんいる登場人物が混乱して誰が誰やらわからなくなるということもない。特に印象的だったのは、ゲッベルスの一家。

主役は、総統の個人秘書のトラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)。強烈なナチ信奉者でもないのに、好奇心から応募した秘書に採用され、ヒトラーのそばに仕えることに。最後は年老いたユンゲ本人のインタビューで締めくくられる。深く考えることのないまま総統の秘書となり、戦後逃げ延びたあとも罪の意識はなかった・・・。ここで時代に流されることの怖さを考えさせられないとダメなんだろうけど、見終わった後、「しばらく何も考えたくない」と思ってしまうほどインパクトの強い映画だった。

ヒトラー 〜最後の12日間〜 http://www.hitler-movie.jp/

#comment


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2005-08-05 (金) 19:46:39 (6839d)