• 船戸 与一著『虹の谷の五月』

主人公のトシオ・マナハンは、フィリピン人の母親と日本人の父親との間に生まれたジャピーノ。1998年5月に13歳だった彼が、15歳になるまでを描かれている。フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てていた。地区の奥地にある「虹の谷」には、元新人民軍のゲリラ、ホセ・マンガハスが住み、たったひとりで闘い続けている。そこへ行く道はトシオしか知らないことから、日本から故郷に戻ってきたクイーンを谷に案内することになり、トシオはゲリラたちの内紛に巻きこまれていく。

2段組500ページを超える長編。フィリピンにもゲリラにもとりわけて興味があるわけではないのに、引き込まれるように読まされてしまった。この人の本は、一人ひとりのキャラクターが際立っている。登場人物も多いのに、主要人物であるトシオや爺っちゃん(祖父)、ホセ・マンガハス以外の人物も個性的に描きこまれていて、イメージが思い浮かぶようなのだ。

昨年の暮れに読み終わったのを書きそびれていた。しかも、本を買ったのも出版されて間もない2000年7月頃。ずっと本棚に眠っていたのだ。今年こそ、読んだ本は書きとめておこう。

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Last-modified: 2005-01-20 (木) 18:13:52 (7029d)