• 逢坂剛著『幻の祭典』

今年はオリンピック・イヤー。この前読んだ『総統の子ら』にもベルリン・オリンピックのことが出てきたことだし、オリンピックをテーマにした本を読んでみようと、図書館で借りてきた。

1936年、ナチス賛美のベルリン・オリンピックに対抗して、水面下で計画が進められていたバルセロナの人民オリンピック。直前に、スペイン内戦が勃発し、開催されぬまま幻と消えてしまった。ベルリン・オリンピックの馬術競技の厩務員としてドイツにいた立花兵輔は、ナチスのプロパガンダ・オリンピックに嫌気がさし、この「人民オリンピック」に参加するため、ひそかにベルリンを脱出、バルセロナへ向かう。

1992年のバルセロナ・オリンピック開幕を間近に控えた東京で、そのことについて書かれた立花の知人の手記がテレビ関係者の目にとまり、オリンピック関連の特番として企画しようと調査がはじまる。

調査を進める広告会社の重堂と複雑な生い立ちを持つ企画会社社長の久留主、バルセロナ在住のギタリスト森村奈都子と友人のマルセや家族、そして内戦当時の立花や共に闘ったアントニやスザンナ。現在の東京とスペイン、そして過去の出来事が複雑に絡み合い、最後には、絡まった謎がすっきりと解決する。殺し屋サンデマンや息子を殺された恨みに燃えるヒターノ、スキンヘッドのグループ「トテン・タンツ」なども登場し、そこにいたるまでの展開もはらはらどきどき。サスペンスとして楽しめたし、久しぶりに読んだあとにもやもやしたものが残らない作品だった。

でも、実は前にも読んだことがあったのだ。読み始めてしばらくして内容に覚えがあるような気はしたものの、先がよく思い出せない。半分近く読んだところで、「やっぱり読んでる」と確信。後半、サグラダ・ファミリアでの騒動が山場なんだけど、「そういえば、前に読んだときも、バルセロナまで行きながら中に入らなかったことを後悔していたんだった」ということを思い出した。

この人の作品は、一時期何冊かまとめて読んだのに、どの作品を読んだのかがわからなくなっている。特に、スペイン関連の本はごっちゃになっているかも・・・。読んだ本は、どこかに書き留めておかないとなあ。

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Last-modified: 2004-08-06 (金) 19:45:11 (7200d)