ときどき日記/2004-06-11

• 鮎川哲也『りら荘事件』（講談社文庫）

やっと読み終わった。時間がかかった。文庫本なので、電車の中や待ち時間にしか読んでいなかったからというのもあるんだけど、なぜか眠くて眠くて・・・。そもそも随分前に衝動的に買って、読みかけて挫折していた本なのだ。

「秩父の山荘に七人の芸術大学生が滞在した日から、次々と発生する恐怖の殺人劇！」という内容。情景描写や人物描写、学生達の会話が古めかしい印象で、書かれた頃は新鮮だったのか、カタカナ語が頻繁に使われているのもますます古めかしく感じるのだ。

読み進むと東京の電話番号の話が出てきて、神田局が25の二桁。作者註として、「東京都の局番は１９６０年２月以降三桁になった」と書かれているので、それ以前の時代設定であることが判明。ああ、やっぱり・・・。

終盤に、星影竜三という、いかにもという名前の探偵が出てきて、真相が解明される。読み終えると、「ああ、そう。そういうことね。」と一応は納得。いたるところに伏線がはられていたことがわかるんだけど、どうもその結論を導き出すために長々と読まされてきたような気にさせられて、すっきりしなかった。

私が、最近この手の小説を読んでいないから余計かも。昔の創元文庫あたりのおかしな日本語の多いエラリー・クイーン本を読みあさっている頃にでも読んでいたら、もっと楽しめたように思うなあ。

• 今丁度、その原型となった「呪縛再現」という短篇を読み終えたところでした。だから、シンクロニシティーにビックリ（笑）。こちらの方は、九州の人吉市を舞台に、七人の芸術大学生が滞在した日から、次々と発生する恐怖の殺人劇！ってな按配です（笑）。１９５３年の物語。勿論、キザったらしい星影竜三も登場するんですが、こちらの方では、本当に事件を解決してくれるのは、アリバイ崩しの鬼・鬼貫警部なんですよね・・・。私は、先に『りら荘事件』を読んでしまっていたので、「ええっ！　星影が解くんじゃないの！！」と腰が抜けそうになりました（＾＾；）。こちらのお話の方は、光文社文庫から出ているアンソロジー『甦る推理雑誌５　「密室」傑作選』に収録されてます〜。 -- 葵 2004-06-11 (金) 21:13:42
• あとがきを読んでみたら、何度も版を重ねて、改稿されているんだって。作者の思い入れが強い本だったのかなあ。 -- Gecko 2004-06-11 (金) 21:15:21
• 今、コメントを書いてEnterを押したら、葵さんのコメントが増えてて、びっくりでした。そうそう、たった今あとがきを読んでいたら、原型となった話があるということが書かれていました。「呪縛再現」は短編なんですねぇ。『りら荘事件』、葵さんは楽しめましたか？日記をUPしてから、「ちょっとひどく書き過ぎ？」と思っていたのでした。 -- Gecko 2004-06-11 (金) 21:19:26
• あちゃー、書き込みの時間までかぶっていたんですね（＾＾；）。私が『りら荘事件』を読んだのはもう随分前のことで、確か当時は角川文庫で出てましたっけ。友人から「本格ミステリ読むなら、これでしょ！」みたいなお薦めのされ方をしたので、「うーむ、こういうのが本格なのか」と思ったものでした。にしては、尼リリスって名前はどうよ、とか（笑）。別に彼女だけに限らず、登場人物がみんなお人形さんみたいな感じで（探偵役の星影竜三も含む）、これだったら海外ミステリのほうがいいなー、なんて思ったんじゃなかったかな？　原型の「呪縛再現」のほうは、文庫本で１３０頁ほどです。尼リリスという名前こそ出てきませんが、沙呂女や他の登場人物の名前はほぼ同じままで出てくるので、途中から「あ、これは『りら荘』だ」と気がついたんです（＾＾；）。Ｇｅｃｋｏさんがお読みになった講談社文庫版は、また角川文庫版とは違うんでしょうかねぇ。改稿されているのかなぁ。・・・といって、読み比べてみる気もないんですけど（＾＾；）。 -- 葵 2004-06-12 (土) 13:55:07
• そうそう、尼リリスっていう名前。最初はニックネームだと思っていたのに、本名だし、読むたびにバカにされているような気がしますよね。尼リリスにしても、日高鉄子にしても、「いくら美人じゃないからって、そんなひどい書き方しなくっても」という感じでした。男性陣もたいがいですけどねぇ。刑事と警部なんてあまりにもやることが粗忽過ぎる気はするし・・・。あとがきの『りら荘事件』の来歴表によると、角川文庫版は『リラ荘殺人事件』、内容的には大幅改稿された新しいもので、私が読んだのと変らないみたいです。私も旧稿と読み比べてみようという気にはなれないです(^_^;)。「呪縛再現」は短編だから、読んでみてもいいけど・・・。 -- Gecko 2004-06-12 (土) 21:37:46

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