• 島田荘司『ネジ式ザゼツキー』

年末から読み始めて、正月早々に読み終わった。映画も本も、見たまま読んだままで、しばらく経つと、見たり読んだりしたことさえ忘れてしまうので、今年は少しだけでも日記に書いておこうと思っていた。だけどこの本は、新年早々に何か書きたいような内容ではなかったので、のびのびになってしまった。

といっても、おもしろくなかったわけじゃない。ここ何冊か、島田荘司の「御手洗潔もの」はどうもしっくりしなかったんだけど、この本は、「一体、何をきっかけにこんなストーリーを思いつくんだろう!?」って、つくづく感心したし、話の展開も興味深くて飽きさせないものだった。

記憶に障害のある男が書いた奇妙な童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』。持ち主を探している肘の骨、テディ・ベアそっくりの熊、蜜柑の樹の上にある村、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機、ものすごい揺れ・・・。全くの妄想だと思われていた男の話から、御手洗潔が真相を導き出すという内容。

現在進行中の部分は横書き、男の奇妙な童話や最初は誰の視点で書かれたものかわからない「ゴウレム」という部分は縦書きという構成。込み入った内容なのに、ひとつひとつの謎が実にすっきりと解明されていき、読み終わると「ああ、こういう結末になるのか」と感慨深い。

しかし、今年の初夢で、「土に埋まって首だけを外に出した、いたちの夢」を見たのは、この本の影響大なような気がするのだy-sweat。この人の本には、相変わらず、衝撃的な場面が多いんだよね。

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Last-modified: 2004-01-08 (木) 20:18:55 (7412d)