• 島田荘司『ロシア幽霊軍艦事件』

島田荘司の本は、一時期新刊が出る端から読むほど好きだったのに、最近はすっかりご無沙汰。なかなかゆっくり本が読めないっていうこともあるんだけど、この本の前に読んだ『ハリウッド・サーティフィケイト』のストーリー展開が好きになれなかったっていうのもあるんだよね。

『ロシア幽霊軍艦事件』は、御手洗潔、石岡和巳、松崎レオナのお馴染みのメンバーが登場するシリーズの一冊。箱根の芦ノ湖に一隻のロシア軍艦が突如として現れたという巨大な謎に、ロシア皇帝ロマノフ・ニコライ2世の末娘アナスタシアが絡む長編ミステリー。ストーリー自体は、「いきなりそうなるか」というのと、「やっぱりそういう結末にするのか」という感じで、これも私には好きになれなかった。

幽霊軍艦の謎とともに、アメリカで亡くなったアナ・アンダーソンという女性が、皇女アナスタシアと同一人物ではないかという謎がこのストーリーの大きな柱。ロシア革命の際に惨殺されたとされるニコライ2世とその家族のうち、アナスタシアだけが奇跡的に生き延びたという設定なんだよね。だから、ロシア革命の基礎知識を、探偵役の御手洗潔が説明する件があるのだ。ニコライ2世の妃はドイツの王室から嫁いできたとか、一人息子のアレクセイは血友病だったとか、王子の出血を止めることができたという怪僧ラスプーチンが后妃の盲目的信頼を得て宮廷で権勢を振るい、その後暗殺されたとか・・・。結構、長々とした説明なんだけど、いちいち、池田理代子の『オルフェウスの窓』の場面を思い描いてしまったよ。全巻持っていたから何度も読み返してはいるんだよ。でも、前の家で本棚に本を積みすぎて畳が落ち込んで本を整理したときに、友人にあげてしまったから、最後に読んだのは随分前。「ああ、私のロシア革命の知識は、『オル窓』だけなんだよなあ」って、今さらながら思い知らされてしまったy-redface。久々に、もう一度読んでみたくなったよ。

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Last-modified: 2003-10-29 (水) 18:47:46 (7485d)